Menue 1. 幸せのレシピ

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 サラダを見た時の怒りはいつの間にか消え失せ、自分は妻失格なのではないかということに落ち込む。  よく見てみると、和也の顔が以前よりぽっちゃりしている。  目に見える夫の変化に気付かなかった自分がとても恥ずかしい。   「どうした? 食べないのか? 食べないなら貰うぞ」    和也は私がサラダを要らないと思ったのか、物欲しそうな目で見ている。  結婚する前も、デートの時に私が食べているものをよくこんな目で見ていた。   「食べていいよ」    その時のことを思い出し、私は思わず笑いそうになりながらサラダを渡す。  そう、当時も仕方無いなぁなんて言いながら、こうやって和也にあげていた。   「おっ。サンキュー」    そして和也もいつもこう言って、美味しそうに食べていた。  私は懐かしさと寂しさで、言い様のない気持ちになる。     「メインお待たせしましたぁ」    私が複雑な心境でいると、奥かられいかさんが出てきた。  今度は雨宮さんは居ないようだ。  そしてれいかさんは相変わらずの笑顔で、私と和也の前に新たな皿を置く。   「えっ」 「これって」    目の前に置かれた料理を見て、私と和也は同時に声をあげてしまった。  というのも、その料理はまたもや見覚えのあるものだったのだ。
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