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私達を驚かせたのは、コンビニの商品だったからではない。
「なあ、これって」
「うん」
出された料理はコロッケ。
しかしコロッケは衣は爆発しており、中身が出てしまっている。
しかも私のに至っては、形も不細工である。
更にコロッケにはソースがかかっているが、それで各コロッケにハート模様を描いている。
衣が爆発してしまっているので、ハートの形も歪になっているが。
「あの……」
「では、ごゆっくりどうぞぉ」
私が料理について質問しようとすると、れいかさんはそれを遮り奥へと早足で戻ってしまった。
しかもとびきりの笑顔を見せてから。
残された私達は、暫く目の前のコロッケを見つめていた。
やはり何度見ても、このコロッケは〈あのコロッケ〉だ。
「どうしてこのコロッケが?」
和也の質問に、私は首を横に振る。
逆に、私が聞きたいくらいだ。
私達に出されたコロッケは、私と和也が初めて一緒に作った料理にそっくりなのだ。
私の分の中身は和也が作ってくれたから、大きさも厚さもばらばらで。
揚げるのもお互いが初挑戦だった為、高温で長く揚げすぎ、見事に衣を爆発させた。
そして余りに見た目が良くないからと、ソースでハートマークを描いたのだ。
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