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「とりあえず食う?」
確かに、このままコロッケと睨めっこしていても仕方無い。
私は和也の言葉に頷く。
そしてお互い、コロッケを口に運ぶ。
「やっぱり同じだ」
「うん」
「懐かしいな」
「うん」
「見た目はあれだけど、味は意外と美味かったんだよな」
「うん」
コロッケを口に運びながら、私はその時のことを思い出していた。
次作る時はもっと上手にと、不格好なコロッケを笑いながら食べた。
そして二度目のチャレンジでは見事成功し、その日に和也からプロポーズされた。
これからも一緒に料理を作ろう、そんな約束もした。
「料理……全然一緒に作ってないね」
「ああ」
「このコロッケのことも忘れてた」
「俺も」
「ていうか、私料理自体してなかった」
「……」
私の言葉に、和也は黙ってしまった。
そう、料理を一緒に作るどころか、和也の為に料理を作ってあげることすら面倒だと思ってしまっていた。
何でも美味しそうに食べる和也の顔が大好きだったのに。
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