Menue 1. 幸せのレシピ

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「ごめんなさい」    謝罪と共に、私の瞳からは涙が零れ落ちた。   「み、美和子」    突然泣き出した私に、和也は慌ててハンカチを取り出す。  アイロンがかかっていない皺くちゃのハンカチ。   「私駄目な奥さんだね」    仕事が忙しいのを理由に、私は主婦業を疎かにしていた。  結婚式の日、絶対いい奥さんなるからって、絶対誰もが羨む夫婦になろうねって約束したのに。   「俺こそごめん」    そう言って頭を下げる和也に、今度は私が慌てる。   「和也は悪くないよ」   「いや、プロポーズの時に美和子が仕事続けるの認めて、俺もサポートするって約束したのに、何の協力もしてやってなかった」   「それは私が何もしないから……」 「違う。俺が何も手伝わないから……」 「ううん。私が……」 「だから俺が……」    お互いムキになって自分が悪いと言い張る状況に、私は思わず泣きながら笑ってしまった。  つられて、和也も笑い出す。   「頑固なとこは変わんないな」   「和也こそ」   「冷めちまうに食うか」   「うん」    私達は再び不格好なコロッケを食べ始めた。
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