Menue 1. 幸せのレシピ

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 私達がコロッケを食べ終わると同時に、奥から雨宮さんとれいかさんが出てきた。   「あの……」    私が話しかけると、二人共優しい笑顔を見せてくれた。  しかしれいかさんの持つトレーには、銀色の蓋が被された謎の物体がある。   「有難うございます」    中身が気にはなったが、私達は先ずは二人に頭を下げてお礼を言った。   「いえ。ご満足いただけたなら幸いです」   「でも何であのコロッケのこと知ってたんですか?」    そして一番聞きたい質問をする。   「それは企業秘密です」    しかし人差し指を唇に当て、雨宮さんはにっこりと笑う。   「秘密かぁ」    和也は残念そうにしているが、私は自分で質問しておいてなんだが、秘密なら秘密でもいいかなと思う。   「ここは秘密のレストランですもんね」   「はい」    微笑む私と雨宮さんを見て、和也もまぁいっかと言って背もたれに体を預ける。  多分、和也もここが普通のレストランではないことは分かっているのだ。    でもそんなことはどうでも良かった。  このレストランに来なければ、私と和也は大切なことに気付けなかったから。  大事な約束を忘れたままだったから。
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