Menue 1. 幸せのレシピ

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「ご馳走様でした」    デザートも食べ終わり、私達は幸せいっぱいな気分になっていた。   「こちらこそ楽しい時間を有難うございました」   「凄い楽しかったぁ」    そう言って微笑む雨宮さんとれいかさん。  二人はやはり夫婦ということで、四人で話している時は互いのパートナー自慢や愚痴に花が咲いた。   「ほんと有難うございました。凄くいい店なので、又ここに来たいんですけど」    和也の言葉に、私も力強く頷く。  こんな素敵なお店なら、又二人で訪れたい。  しかし雨宮さんとれいかさんは、困った様な表情になる。   「お気持ちは嬉しいのですが、ここに来ることのできるお客様は〈大事なものを見失っている方〉だけなんです」    雨宮さんの言葉に、私と和也は顔を見合わせる。  大事なもの――確かに私達は夫婦でいられる幸せを見失っていた。    しかし、雨宮さんとれいかさんのお陰で、それを見付けることができた。  その二人に会う為には、幸せを見失わないといけない。   「じゃあ、残念ですけど、もうお会いすることはないですね。でも俺絶対に二人のことは忘れませんから」    一気に悲しい気持ちになる私とは反対に、和也は笑顔で右手を雨宮さんに差し出す。  もう会うことはない、つまりはもう幸せを見失ったりしないということ。
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