Menue 1. 幸せのレシピ

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「本当に有難うございました」    私は深々と頭を下げる。  今度こそ、二人とは本当にさようならだ。  堪えていた涙が頬を伝うが、私は笑顔で顔を上げる。   「ご来店有難うございました」    二人はとても綺麗なお辞儀で、店を出る私達を見送ってくれた。  店を出てからも、私は何度も振り返る。  そんな私に、二人は優しい笑顔を向けてくれていた。   「あっ」    そして何度目だろうか、振り返った私の目の前から、店も二人も消えてしまっていた。  そう、まるで最初から何も無かったのように。   「消えちゃったね」    私が立ち止まったので和也も歩みを止め、店があった場所を見つめている。   「うん」   「ほんと不思議な店だったね」   「うん」   「でも来れて良かった」   「うん……でも、何だか夢を見てたみたいな感じ」    あっという間の素敵な時間。  もしかしたら、もうすぐ私は夢から目を覚ますのではないか、そんな風にさえ思ってしまう。   「夢じゃないよ」    そんな私の手を握り、和也は微笑む。  綺麗だなんて言ったら和也は怒るかもしれないが、微笑む和也が本当に綺麗だと思った。   「だってこんなに暖かいんだから、夢な訳ないさ」    そう言って、和也は私の手を握る手に力を入れる。
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