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「和也……」
久々に感じた和也の温もりに、私は小さく頷いた。
今日不思議な猫に導かれ、Fortnnatoという店に訪れ、雨宮さんとれいかさんに会ったことは夢ではない。
そこで懐かしいコロッケやケーキを食べたことも、楽しい時間を過ごしたことも。
今感じている温もりと、幸せな気持ちも。
全て夢なんかではない。
「私、いいお嫁さんになる」
私もぎゅっと和也の手を握り返す。
変な意地を張らずに、もっと仕事も周りに頼ろう。
そして和也の為に、美味しい料理を作ろう。
「俺もいい旦那になるよ」
「誰もが羨む素敵な夫婦になろうね」
「ああ。約束したもんな」
「うん」
もう私達は大丈夫、そう心の中であの二人に語りかける。
幸せの魔法をくれた二人に。
「美和子、愛してるよ」
「私も」
そして私達は誓いのキスを交わす。
今日が私達夫婦の新たなスタートの日。
一生忘れられない二人の記念日。
「さようなら」
私は月に照らされた空地に向かって微笑んだ。
どこからか、猫の鳴き声と有難うございましたという声が聞こえたような気がした。
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