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「疲れた」
街灯に照らされた夜道を歩きながら、私は溜息混じりで一人呟く。
イベント会社に勤めて四年になるが、三ヵ月前に今までの功績が認められ、チーフという役職に就くことができた。
仕事はやりがいがあり楽しいのだが、その分仕事量も増え、まだ新しい環境に慣れない私は毎日忙しい日々を送っていた。
更に一年前に結婚したばかりなので、仕事が終わった後や休日には主婦業に専念しなければならない。
しかし最近は仕事が特に忙しい為、主婦業にまで手が回らなくなってしまっている。
今抱えている仕事を、幾つか他の人に渡してもいいのだが、チーフになったという妙なプライドがそれを拒んだ。
そんな私に夫は最初こそ文句を言っていたが、最近は諦めたのか何も言わない。
そうなると私達の間には会話も少なくなり、逆にあまり家事を手伝ってくれない夫に八当たりすることもあった。
これではいけないと思いつつ、どうしても仕事を優先させてしまう。
家事を手伝ってくれない夫が悪いのだと責任逃れをしてまうのだ。
しかし明日は久々の休みなので、暫くしていなかった家の掃除をしなければならない。 天気ならば布団も干して、それに……私はやらなければいけないことを思い浮かべ溜息を吐く。
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