ママの為の私

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どうして貴方達がママの事をそう悪いと言うのか……私にはわからないの。 いつだってママは私の体の事、一番に考えてくれたわ。 「ドリィ、私の可愛いそっくりさん」 ママはいつもそう言いながら私の髪を撫でてくれたの。 ママと私は本当にそっくり。私ね、自分のこの赤毛が大好き。だってママとお揃いだから。   ママは健康管理にとてもうるさかった。 食事はできるだけ無添加の自然食品。 遺伝子組み替えや保存料は内臓に悪い物質を蓄積させるんですって。 いつも手作りのパイを焼いてくれたわ。 毎日体重と身長を測って、毎週採血検査をしたの。 「ドリィ、毎日貴方は成長しているのよ?」 ママは私の記録をコンピューターに入れて グラフにしているの。 よくそれを見て嬉しそうにしてた。 私、早く大きくなりたかったわ、ママの為に。 食事だけじゃない。 程良い運動に、読書に音楽。 テレビや新聞、外の世界の情報は私を堕落させるらしいの。ずっと禁止だった。   ママはいつだって最高の環境を私に用意してくれていた。 私の成長を楽しみにしていたの。 目?私の左目ね、ええ義眼よ。 ママに一つあげたの。だって白内障が酷かったのよママ。 ……う~ん、ママとお揃いの緑色の瞳じゃなくなっちゃったのは残念だけど。 でも良いの、いずれ右目も ママの物になるんだから、全然どうって事ないわ。 何故?何故怒るの、私の体はママの為にあるのよ。 本当なら再来月、私の14歳の誕生日。 肺と肝臓とをママに上げる予定だったの。 私の体が幼ないと、ママの内蔵として上手く働いてくれないって。 だから、私は早く大きくなりたかった。ママの為に。 それなのに、あなた達がママを逮捕しちゃうから。 どこか遠くに連れて行って、私はママと引き離された。   ママは何も悪くないのに、どうして逮捕されちゃったの? 残酷とか、洗脳とか、貴方達の言うことはよく解らない。 でも、私は、ママの為に有るの。 ママの為の私なの。 ……クローン、私が?よくわからない。何の事?
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