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世の中には、翼を持っていない人が少なからずいる。僕もその中の一人だ。 幼い頃には僕にも翼があったらしい。らしいというのは、あまりにも小さいときの話で、物心がついた時には、僕の背中には翼はなくなっていたのだ。 人によって、その翼の形状はだいぶ違っている。鳩のような形の人もいれば、燕のような人もいる。持っているものは人それぞれなのだ。 多くの人は、その翼を羽ばたかせ、広い空を飛び回っている。 僕はいつも空を眺める。そこには、気持ち良さそうに飛ぶ人たちの姿が視界に飛び込んでくる。 その度にとても悲しい気持ちになる。自分が人よりも劣っていて、みなに笑われているような気がしてやりきれない気持ちになる。しかし、見ないわけにはいかない。 僕には、他にすべきことが皆無だからだ。
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