戻れない日々。-prologue-

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ある宿屋の一室。     窓から漏れる微かな明かりを頼りに、ひとりの少年が本を読んでいた。     時刻が深夜だということもあり、辺りには静寂が広がっている。       ふと、微かに歌が聞こえてきた。   それは寂しくも、暖かい音色。 リュートと共に聞こえてくる歌声は、何だか悲しい響きを持っている。   心に染み渡るその歌は、聞いていて心地のいいものだった。   少年は耳を澄まし、音の在り処を探ってみた。 どうやら窓の外から聞こえてくるらしい。   音の正体が気になった少年は、読みかけの本に栞をはさみ、部屋を後にした。      
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