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「死んだ人間の事なんか考えても仕方がない。僕はそんな気持ち知らないし、知ろうとも思わない」
話しながら、リオンは一人の女性の笑顔を思い浮かべた。
彼女さえいれば、他にはなにもいらない。
そう思いながら、リオンは続ける。
「死んだ人間に歌や声なんか聞こえやしないし、過ぎた事を想っていても何も始まらない」
「………まぁ、そーね」
リオンの言葉にうなづきながらも、ジョニーは続けた。
「だが、忘れられないんだよ。その人の声や、仕草や、……笑顔が。だから、自分を落ちつかすためにも歌うのさ。それくらい、いいだろう? 」
「―――……」
黙ったままのリオンに、ジョニーは小さく微笑う。
「お前さんにだって、守りたい人くらいいるだろ?」
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