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追い込まれたエースに、閣下は更に追い詰めるように言った。
「さあ、どうする。謝って私に許して貰うのか、死の湖に飛び込むか…。それとも……」
「私の嫁になるのかどっちだ?とか言っちゃったりして!?きゃっ!閣下ってば、大胆だねぇー」
突如聞こえてきた声の出どころは、湖に一番近い所に立っている木からだった。
「だっ…誰がそんな事を言うかっ!それよりも、誰だ!貴様はっ!!」
すると、木の上から鼻で笑う声が聞こえてた。
「俺が誰だって!?お前らはよ~く知ってるだろ?この………森の番人を♪」
そういうと、声の持ち主は木から降りて来た。
「………………!!」
その姿を知らない筈はない。
今は普通の服装だが、帽子をとっているせいで、持ち主が誰だかはすぐに分かってしまう。
「……ス…ピナ?…それにアリスも…。一体どうして?」
「こんな奴らに俺の家を荒らされたくはないからな。……それに、友達がピンチとありゃぁ、助けるってのが常識だろ!」
恥ずかしいのか、スピナの頬は赤くなっていた。すると、横からアリスが、
「私たちが帽子屋を探してたらエースが兵隊さんに追いかけられてる所を見かけて、追って来たの。」
2人がエースの事を心配してくれたのに感動したエースの横で、アリスは怪我の部分を手当てしてくれた。
エースの処置が終わったのを見計らって、
「手当てが終わったらさっさと立てよ。…あいつらをぶっ飛ばしてやろうぜ!!」
「…………………。」
エースは言葉が出なかった。
いや、むしろ友達というのがこんなにも心強いのだと、驚いたのだった。
「…あれ。もしかして、腰が抜けちゃった♪ってか?げぇ、勘弁してくれよ?そーゆーのは。」
「う…うるさいっ!第一、何でボクが腰を抜かさなきゃいけないんだ!!」
すると、スピナはふっと笑い、
「うしっ!そんだけ元気がありゃあやれるな!!」
「……………っ!!!???」
正直、スピナはこんなにも優しいかっただろうかとエースは一瞬戸惑った。
でも、エースは信じてみようと思った。
たった2人の友達を…………。
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