魔性の男

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「あっ…あの!!頑張ってきて下さい!!」 僕は興奮気味に言った。 それを見て、鈴谷さんは笑った。 「俺も代表なってみます、ぐらいのこと言ったらどうだ?」 「うぇっ!!ムリっすよ、そんな代表なんて…」 「ムリじゃねぇよ、必ず来い」 鈴谷さんが急に真剣な顔をしたから、僕はどうして良いのか分からなくなった。 僕が黙っていると、 「長居したな…、じゃぁ俺帰るわ」 「…はい、」 「世辞でも何でもないから良く聞けよ、俺は日の丸背負ってお前と一緒に世界で戦いたい」 「…………」 「急に悪かったな」 そう言って鈴谷さんは僕の部屋を後にした。 キィと年季の入った扉が音を立てて閉められた。 意気地のない僕、情けない。 頑張ります、と言えたらどんなに楽なんだろう。 全てを先へ行く、鈴谷さんを見ていると胸が苦しくなる。 心から深く想っているのに、対等とは言えない立場に僕は、歯がゆさを覚えた。 追いつきたい、並びたいと思っていても鈴谷さんは待ってはくれない。 その代わり、僕の目の前を明るく照らしてくれる。 僕は甘えていた…? 強くなりたい。 心も身体も大きくありたい。 この日、僕は自分自身に誓った。
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