決死の思い

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「そんなこと本気で思っているのか?」 今まで穏やかに話していた麻生さんの声音に僅かに怒気が孕んでいるように感じた。 「俺はお前を買いかぶりすぎてたのか?もう少し人の気持ちに敏感な奴だと、思っていたんだけどな…」 「ちっ違いますっ!!そうじゃないんです…」 「自信がないって…ことか?」 「も…ぅ、本当にわからないんです…」 「…でもそれはお前の勝手だろう?少しは透のこと考えてやれよ」 すでに湯気の昇らなくなったコーヒーカップに手を伸ばす。 すっかりぬるくなったそれは鈍く口腔内に広がった。
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