魔性の男

「マジか…」

俺の告白に驚いた篠宮さんは、どこか諦めたような口調で呟いた。

「たぶん、マジです…」

「笑えねぇな、ソレは」

「笑えないですよね？」

僕は力無く笑った。
何でなのか自分でも分からない。
あの笑顔を見てしまってから、僕はおかしい。
今だって付き合ってる彼女もいるのに、鈴谷さんが気になって仕方がない。
恋愛感情じゃないかもしれない。
だけどそう想ったら、なぜか哀しくなった。

「篠宮さん…僕おかしいですか？」

「あのな、今から言うこと一言一句聞き漏らすなよ」

妙に真剣な顔で篠宮さんが、言った。
もう半泣きの僕は黙って頷いた。