56人が本棚に入れています
本棚に追加
/413ページ
次の授業は日本史だった。
年輩の教師が白髪頭で教壇に立つのを、生徒たちははらはらと見守っていた。
‥ように見えた。
出席番号順で並んだ新入生を見て、おじいちゃん先生は嬉しそうに笑うと、言った。
「えぇ、高校の内にできた最高の友達って言うのはですね、その人の生涯の友人になるわけですね、うん」
まるで独り言のような呟きに、あたしはちらりとあやを見た。
そういえばさっき、あの悪魔が、あやが誰かと居るのは珍しいとか言ってたよなぁ‥
出席確認のために名前の点呼をするおじいちゃん先生。
「えぇ‥田口、陽介」
「はぁい」
「んん‥成瀬‥誠」
「はい」
凛としたよく透る声に、心臓が跳ねた。
恐る恐る、あたしは悪魔を見る。
悪魔は、頬杖をつきながら綺麗な薄い唇を舐めた。
そして、思い出したようにポケットを漁ると、そこからリップを取り出した。
少し眠そうにしながらその唇にリップを塗る男の人が、綺麗だと思ったあたしは変態だろうか‥。
最初のコメントを投稿しよう!