事情

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少し離れた成瀬は笑った。 口元は見えなかったけど、雰囲気で笑ったように感じた。 次の瞬間、肩を押されて横に寝ころんだ。 ‥とか、言ってる場合じゃない。 何が起きてるの? そしてまた、視界がぶれる。 今度は口元に別の違和感。 ちょんちょん、と動いたそれは、すぐに引っ込んだ。 金縛りにあったように動けないあたしの上に、成瀬は体重をかける。 キスか。 そうですか。 成瀬の考えていることがわからなくて、でも、想像していた人の唇と違って、あたしは余計に動けない。
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