~第一章~ 五里霧中

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今は、それどころじゃない。 そう言いたいところだが、サボったりすれば記憶が戻ったとき困ったことになるかもしれない。 それに、バイトに行けば何か思い出すかもしれない。 昨日もバイトに出ていれば、昨日の自分の動向を知る手掛かりになるだろう。 そう考えると、バイトには出ておいた方がいいような気がしてきた。 「よし、行こう!」 そうと決まれば、急いで支度をして行かないと、ただでさえ遅刻をしているらしいし、これ以上、遅れる訳にはいかないだろう。 幸い先ほど外に出たときに星野屋の看板を目にしている。 おそらくそこで間違いないだろう。 手近にあった鞄に制服に詰めるとテーブルの上に置き放してあった鍵を掴んで部屋を出た。
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