~第一章~ 五里霧中

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受け取った氷を額に当てると、すぐに店長が戻ってきて、 「佐賀下、今日は、お前裏でいいから。出来るか?」 と、聞いてきたので、 「はい、大丈夫です。」 と、答えた。すると、 「なら、牛丼(並)3頼む。」 と、言い味噌汁を入れてまた表の方に行ってしまった。 仕方なく、言われた通りに牛丼(並)3を作り始める。 驚いたことに自然と作ることが出来た。 割と長くここで働いているのだろうか、何度もやった作業のように自然に体が動いた。 体が覚えているということだろうか? とりあえず、仕事面での心配はしなくてもいいようだ。 このまま普通に仕事をしていれば、記憶が戻ったりしないだろうか? 消極的ではあるが当面は、日常の中で記憶が戻るのを期待して行動することにした。 なにより、積極的な代案を思い付けなかったからだ。 そんなことを考えながら、 「牛丼(並)3出来ましたー。」 と、表に声を掛けた。
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