第十四章

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ぶすっと頬を膨らませて口を尖らせる。 「まったくもって可愛くもないですね。」 デルアは冷たい目でそれを一瞥すると、すぐに目玉に視線を戻す。 すると、目玉がアメーバのようにうぞうぞと剣に絡みついていた。 眉間にシワを寄せて顔をしかめる。剣を左手に持ち替え、右の手の平を上に向けた。 「其は我が右手に宿るものなり。」 出来上がった風の刃を、そのアメーバに向ける。 アーロットによって弱体化されていたためか、簡単に目玉は風に切り刻まれ黒い靄(もや)となって霧散していく。 本体の方も攻撃を受け、辺りが黒く染まっている。 四足獣のほうは、かすり傷も無いところを見ると、アーロットの力は優れているのだろうとうかがえた。 散々攻撃を受けた円盤型の侵略者は、一瞬膨れたように見えた。 エクリーンはそれに嫌な予感を覚えて眉を寄せた。 アーロットが四足獣に力を放つように両腕を左右に開く。 同じくして円盤型も弾けた。 左右上下あらゆる方向に目玉が飛んでいく。 本体の方は空気に溶けて行くように黒い靄も消えていく。 「ぎゃあああああ!!」
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