第十三章

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それでも最初のように突然感情のままに暴走する事はない。 「今から戦うことはわたしの意志。わたしは負の調護者として侵略者を排除する。」 (だってそれを出来る力があるのだから、使いたい。) ぽたりと握りしめた拳から血が落ちた。 「意志を持って行動するということは、自由ということ。」 慣れたとはいえ、完全に律しきれない高揚感に、ファライルは口角を吊り上げる。 「ふふっ。わたしは合っているよね? 義母様。」 愛しい人が最後に自分に願ったことは、自分には良く分からない。 けれども、考える。 「あーあ。わたしがシゼル達に言ってたのは、こんなに難しいことだったのね。」 (だって自由なんて知らないんだもの。) 肌に触れる侵略者の気配に口調は明るく軽くなっていく。 (自由なんて知らない。けど、きっと義母様が願ってくれたのは、わたしがシゼルたちを思うのと同じ感情だと思うから。) それでも頭の隅に残った冷静な自分はいた。
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