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「あなたはだぁれ?」
少女は尋ねた。
答えるものは誰もいない。
けれど、空気が、雰囲気が声を紡ぎ出す人物が悲しく優しく笑ったことを告げた。
その人物の表情も姿も男か女かさえも分からないのに少女には優しい人であることだけは分かった。
少女にとって味方であると………。
「おーい。」
突如、意味が分かる言葉が少女の耳に響いた。ペチペチと頬(ほお)を軽く打たれる感触も鈍く伝わってくる。
「おいって、大丈夫か?」
ぼんやりと白けた視界の中に自分の顔を覗き込む青年の顔がおぼろげに認められた。
意識が半分眠ったままの頭で少女はのろのろと考える。
(この人、誰?)
青年の髪は金の髪をてきとうに短く切ったような髪型だった。長さがばらばらだ。
素直そうな青い瞳で少女を見下ろしていた。
エクリーンと同じように白い隊服を身に付けている。
名前はティーンといった。
少女はゆっくり上体を起こし、辺りを見渡す。自分を覗きこんでいたティーンと同じような服を着ている老若男女、総勢十二名がこちらを見ている。少女は一気に目を覚ました。
「あなたたち誰!?」
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