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急だった。
たまたまだった。
『あの子、誰…』
陽菜は友達との帰り道、勇樹と歩いている少女を見た。
自分とは正反対の、自分をしっかり持っている表情の女の子。
勇樹と二人で歩く姿は、まるで絵のようだ。
悲しさと、嫉妬、憎悪。
自分の中に目まぐるしく駆け巡る感情を、抑えられない。
咲智「ちょっと、ひなぁ…大丈夫?」
親友の咲智が聞いたとき、苦しそうな表情で涙を流していた。
陽菜「大丈夫…」
そんな訳はない。
好きな人が、目の前で違う女と歩く。
居場所が無くなって、求めるものは手にはいらなくて、ただ、泣くしかなかった。
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