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「あぁ、それと―」
思考(妄想)を止め、ワッフルが口を開いた。
「嫌じゃなきゃ、フードとってくれねぇか?」
「そうそう!ない方がかわいいよ~!」
リスティルもそれに賛同する。
「えっ…」
ティナは少し困った様子でワッフルを見るとすぐに俯き、答えた。
「でも…私、髪の色が…」
「やっぱそんなことか。」
その答えを予想していたといわんばかりに、ワッフルはニカッと笑って言う。
「お前さん、国外から来たんだろ?この国にはプライマリーはいねぇから安心しな。」
プライマリー…原色主義者。またはその集団。
人より強い魔力を持つ者は時として生まれた頃から髪や瞳の色素が薄くなったり、特異な色となったりする。
プライマリーはそれを異端とし、そういった者の存在を認めないのだ。
「でも…やっぱり…」
顔を隠す理由は髪色だけじゃない。
だがさっき会ったばかりの二人にそんなことは言い出せず、口ごもるティナ。
「大丈夫だって~!見て見て!アタシのも真っキンキン!」
そんなティナに、リスティルは自分の少し色素の薄い金髪を、手でくるくるまるめとるようにして見せた。
「…わかりました。
では、皆さんの前でだけ…」
今の説得(?)が効いたのか、ティナはフードを外した。
「ありがとな。」
「むむむ…アタシ達の前だけかぁ…」
礼を言うワッフルとは対象的に、なにやら唸っているリスティル。
「う~ん!まぁいいや!
じゃあアタシ、ティナちゃんが外出する時用にもっとかわいいマント探してくるね!」
そう言うと、いきなり部屋から飛び出していった。
まさに嵐である。
「…悪いな、騒がしくて。」
「いえ、楽しくて素敵な方ですね。」
部屋には嵐の後の静けさと共に、立ち尽くすワッフルとティナが残されたのであった…
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