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そんな小さな恨みを噛み殺すように、ワッフルは話題を変えた。
「つか、リィスって?
お前リスって呼んでくれって言ってなかったか?」
その問いにリスティルは口の中にある果物を忙しく飲み込むと、答えた。
「うん!でもティナちゃんがティナちゃんだから、アタシもリスじゃなくてリィスにしたの!」
…
うん、よくわからん。
とりあえず名前のイントネーションを似せたかったってことだろうか。
当のリスティルはどこか満足げで、ティナはニコニコと微笑んでいる。
そんな会話をしているうちに、片付けを終えたリンダが静かに立ち上がった。
「では、私はこれで失礼いたします。」
そう言うと、ワッフル達に丁寧に一礼する。
「え~!!」
その瞬間、リスティルが椅子から立ち上がりリンダに駆け寄った。
「リンダもゆっくりしてってよ~!」
…だからここは俺の部屋だと。
まぁ別にいいけど。
「申し訳ありません。まだ仕事がありますので。」
リンダはそう言って優しく微笑むと、リスティルの髪をそっと撫でた。
(…やっぱこの二人、親子みたいだな。)
微笑ましい光景をパンをかじりながら見つめるワッフル。
もはや自分がなぜこの城にいるのか、忘れつつある時だった。
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