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リスティルは急ぎ準備を済ませようと、自分の部屋へと戻った。
人形などは無いものの、白に統一されたかわいらしい食器や家具が並べられた内装はなんとも女の子らしい。
……巨大な本棚や、そこにぎっしりと詰まった重厚な本が無ければ、だが。
(杖と~…ローブと…食糧とかは補給部隊が一緒だし平気だよね!)
そう思い、細長いタンスのような棚の扉に手をかける。
そこを開くと、自分の身長ほどもある杖が姿を表した。
年代を感じさせる木で造られたそれは、どこか神々しさすら醸し出している。
"神杖スレイヴニル"
世界創世の頃からあると言われる大樹の、落ちた枝を加工して造られた逸品。
持ち主の魔力を僅かに増幅させる効果を持つ。
スレイヴニルを取り出し、棚の扉を閉めると次は衣装箪笥に手をかける。
(…あれ?)
だがいくら探しても目的のものが見つからない。
ガサガサと色々な服の間を探していると、部屋にノックの音が響いた。
それはいつものコンコンといった落ち着いた音ではなく、
どこか焦躁に駆られているのが伝わるような音。
「リスティル様!」
ドアの外から声がする。
リスティルがとてもよく聞き慣れた声。
バタバタと入口まで走り、ドアを開ける。
するとそこには探していたローブを持ったリンダが立っていた。
その顔には焦りと不安が一杯に浮かんでいる。
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