play④歩き出す者、送る者

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「あ!それ探してたんだぁ! ありがと~!」   リスティルはいつもの…いや、いつも以上の笑顔をリンダに向ける。     「リスティル様…」   リンダはそんな笑顔を憂いをおびた瞳で見つめている。     「…発たれるのですか?」   「うん!今日のお昼から、ちょっとタイルまで~!」   心配そうに尋ねるリンダに、リスティルは少し声を大きくして元気に答えた。     「心配いらないよ! ちょっと偵察してすぐ帰ってく――」   「リスティルッ」   バサッとローブが床に落ちる。 リスティルの目の前にはリンダの胸。 すごく近くから感じる大好きな匂い。   心配させまいと紡いでいた言葉は、リンダに抱き締められることにより遮られてしまった。     「…アナタは魔法士なんだから、危なくなったらゼオ様やティナ様に守ってもらうのよ?」   「…うん」   「長旅になるんだからちゃんと食事もとって、夜の見張りは誰かに任せてアナタは安全な場所で寝なさいね?」   「…うん」   「それとすり傷に効く薬草を小袋に入れておいたから、転んだ時や靴ずれおこした時に…」     …やっぱりリンダは普通に話してくれるほうが嬉しい。   でも、一緒に戦えない体になってから… アリシアが死んでから。   リンダはすごく心配性になった。   今もそう。 アタシを抱く腕は、不安で小さく震えている。     「…リンダ。」   リスティルは胸にうずめられた顔を上げ、リンダの目を見る。   心の底からの心配を映すその瞳に、ゆっくりと語りかけた。   「…大丈夫だよ。 ぜったい無事に帰ってくるから。」   「…うん」   リンダはゆっくりとリスティルを離すと、床に落ちたローブを拾う。   そして軽くそれをはたくと、優しくリスティルの肩にかけた。
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