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「えへへ、ありがと!」
嬉しそうにローブをひらひらさせるリスティルに、リンダはもう一度言葉をかける。
「あとひとつだけ。"アイツら"に会ったら、必ず逃げなさい。」
「…うん。わかってる。」
その言葉に、リスティルは小さく頷いた。
そしてリンダは再びリスティルを優しく抱き締める。
「…いってらっしゃい。
気をつけてね?」
離れ際、リスティルのおでこにそっとキスをした。
「それでは、失礼致します。」
一歩下がり、使用人の口調に戻ったリンダは一礼すると、廊下の奥へと歩いていった。
離れて行くその背中に、リスティルはそっと呟いた。
「…ありがと。
いってきます…」
杖を持ち、リンダとは逆の方向へ歩き出すリスティル。
体を包むローブには、大好きな人の暖かさが残っていた。
"マジックローブ"
繊維に魔法金属を織り込んだ布で造られたローブ。
リスティルのものにはミスリル銀が織り込まれているため、ミスリルローブとも呼ばれる。
超高級品。
装備した者の魔力集中率を高めるため、魔法の発動が少し早くなる。
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