13人が本棚に入れています
本棚に追加
迷子
自殺だった
一昨年の今日
卒業式にこの場所で先輩は命を終わらした
その日、ぼくが一人死んだ
先輩から見た、ぼく
先輩の中で生きてた、ぼく
僕にとっては心中だった
でも生きている僕
求められたのは、哀れさと哀しみ
無条件に与えられる、同情と優しさ
誰も分かってない
先輩が、くだらない確信で、自分の人生を終焉させただけの事
先輩の人生まで、僕は欲しいと思わない
人が生きて死んだ事の、何を悲しめばいいのか
ただ
ぼくが泣いてる気がして
僕は、いつも、ぼくを、探していた
僕の卒業式
先輩が死んだ日
やはり僕はぼくに逢えなかった
本当に、連れて行かれたのだろうか
声に気がつき振り向くと、友人が心配そうに見ている
卒業のカーネーションを地面に
捧げられたカーネーションは、連れて行かれたぼくにではなく
置いて行かれた、僕への献花なのかもしれない
最初のコメントを投稿しよう!