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届かない
泣き顔が映る
誰だ
あぁ彼女だ
喉に強く感じられる痛み
彼女に絞められてるのを思い出す
意識が朦朧としてきたらしい。そんな事も分からなくなってきていた
余分なモノが無くなり、大切なモノが鮮明になる
可哀想に
愛する彼女が泣いてる
耳鳴りの隙間をぬって、聞こえて来る嗚咽
次第に手の力が抜けて来ていた
あぁ
ぼくはこの人がいとおしい
手を添えて、導く
もっと強く、確実に
震える手
ます涙
哀しみに溢れたきみの目に、映るだろうか微笑は
ぼくの目には、鮮やかに映っている、泣き顔が
温めてあげたかった
震えを止めたかった
強く、強く
彼女の手を握る
漏れた息は、決して苦悶ではない
泣き止み方を忘れた、しょうがない恋人に対する苦笑
仕方がない
拭ってあげようと伸ばした手は
涙まで届かなかった
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