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由衣と出逢ったのは
去年の春だった
切っ掛けは なんだったかなぁ?
あぁ
由衣が道端で
溝と格闘しちょったんだった
由衣 アホだからなぁ~
俺はダチとの
待ち合わせに遅れて
かなり焦ってたかなぁ?
走って待ち合わせ場所に行ってると
しゃがみこんで
今にも泣きそうになりながら
溝にはまった靴をとろうと
必死に引っ張ってる女が居た
それが由衣だった
『おい、大丈夫か?』
思わず声をかけた
由衣はビックリしたように顔を上げた
最初は 警戒してる猫のような目をしてたが
次第にまた泣きそうな顔にもどり
口を開いた
「あんなぁ~ヒールがはまって…とれへんくなったん…」
あのときの清んだ綺麗な由衣の声が
今でも俺には
はっきり聞こえる…
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