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ブールバールは薄紅色
風の色をも染め上げて
なのに貴方はなぜか黒
黒を纏っておりました
薄紅色の風 貼り付いて
白く見える花びらが
纏う黒を染め上げて
貴方はそれを
執拗に振り払うのです
いつか貴方に言いました
黒い貴方が好きですと
桜吹雪の中でした
ときめいて、春
染め上げる風も
あの時は綺麗に見えました
進む道が見えた時
貴方はほんのり笑いました
ときめいて、春
別れを告げて道歩み
変わる自分に戸惑って
貴方は白を振り払う
黒くありたくて振り払う
でもみんないつか
年老いて、いく
黒い貴方を抱き締めて
一つ言の葉、投げ掛けた
白い貴方も好きですと
染まる貴方は微笑んで
薄紅色を吸い込んで
舞い飛ぶ桜になりました
手を伸ばしたらひとひらの
溶けない雪が舞い落ちて
それはきっと貴方からの
白く染まった貴方からの
答えという贈り物でしょう
私は一人地べたに座り
風の行方に想いを馳せて
ぽつりと一人焦がれるのです
この先の貴方へ
ときめいて、春
微笑んで、去る
風に雫を流しました
それが私のお返しです
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