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――わたしが椿様の代わりになります
――
―
「…御殿様っ…椿様が人柱になるとゆう話は本当ですかっ!?」
一つに束ねた髪を横に振りながらぱたぱたと小走りで鈴音は殿にかけよった
いつもはわしに近寄ろうともせず
椿の後ろに隠れているこの娘が…
「何故…なぜ椿様が…っ!?あんなにお優しい方が人柱になど…」
目に涙を浮かべ震えながら鈴音は殿様の着物の裾をつかんでいた
――鈴音は…椿が幼い頃に何処からか連れてきた娘…
まるで鈴の音のように小さく泣く赤子を椿は優しく抱き抱え笑っていた
城下には里親のおふれを届けたがこの娘の親は現れなかった
母親もおらず
姉妹もいない
椿にとっては鈴音が妹のように思えたのだろう…
この娘も椿を姉のように慕い優しい娘へと育った
わしにとっても娘のように可愛いかけがえのない娘だ
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