深く深く堕ちてゆく

2/4
25人が本棚に入れています
本棚に追加
/85ページ
椿姫は必死に走りました 城下町の人々は桐の箱に入った鈴音を椿姫だと思い、山の梺へと運んでおりました 『…はぁ…はぁ…っ…待って…どうか…』 椿姫は裸足で白無垢が泥で汚れるのも構わず走り続けました ――― …――カ…ー…ン 遠くで丑の刻の鐘がなり響くのが聞こえました 無月の晩… 雨が降ってきたこともあり外は真っ暗で何も見えません それでも鈴音を運ぶ火を頼りに椿姫は走り続けました 裸足は山の木々により赤くそまり… 白い肌も… 美しい黒髪も乱れ傷だらけになっても …鈴音の… 愛しい妹のもとへと走り続けました
/85ページ

最初のコメントを投稿しよう!