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――鈴音は谷底に堕ちることに逆らうこともせず
目を瞑り…
祈りながら堕ちてゆきました
深く深く
谷底はまるで底なしのように時間がゆっくりと感じられました
死に逝く為に
椿姫の為に堕ちてゆく鈴音は風を感じ
一滴の涙を流していました
その涙の粒は風に逆らうことなく一瞬上へと舞い上がり
鈴音のあとを追うように堕ちてゆきました
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