奈落の果て光差すこともなく

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――…雀 ― 『雀ーーーーーっ!』 鈴音ははっと目を開けました (…え?…) 風に逆らい目を細めた先には いつも見慣れている美しい椿姫が、白い手を伸ばし堕ちている姿が見えました 『椿様―…っ…なん…で…』 ――椿姫を見た瞬間、雀の目から大粒の涙が流れ出しました その涙の粒は空を舞い、椿姫の頬にも届きました 『―…雀っ…雀っ!』 椿姫は雀の腕を掴み、そのまま抱き寄せました 『…雀ありがとう…』 その胸にぎゅっと雀を抱きしめ、 椿姫は安堵の息をもらしました 『雀…もうあなたをヒトリになどさせないから…』 『…っ…椿さまっ!』 椿姫は優しく鈴音を抱き締め、 目を瞑り奈落の底へと堕ちてゆきましたimage=159914267.jpg
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