奈落の果て光差すこともなく

5/7
25人が本棚に入れています
本棚に追加
/85ページ
―――― ―― …ポツン… …ポツン… ―――…ポツ …う…っ… ……椿…様…? 滴が頬にかかり、 鈴音はゆっくりと目を開けました 真っ暗でなにも見えませんでしたが、 何か重いものが鈴音を覆い被さるようにのっているのが分かりました …う…重…… ―――ぬるっ― 鈴音が自分に乗っかっているものをどけようとした時…… 何か生温いものが手につきました 『……えっ?…な…に…』 ……水?… そのものは柔らかく、まるで鈴音を包み込むように乗ってました 鈴音は目をコジゴシと擦ったあと 目を少し細めよく見ました 長い手足… 艶やかな黒髪… どれも見慣れた姿― …… (…椿…様…?) 『――――っ…』 細めた瞳を大きく見開き鈴音は叫びました 「『椿様っ!!』」 白無垢は赤く染まり、 椿姫の絹のような白い肌はいつもにも増して美しく際立っていました 「『…っ…椿様っ!椿様っ』」 鈴音は必死で椿姫の身体を揺らしました
/85ページ

最初のコメントを投稿しよう!