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綺麗に着飾れた白無垢の裾をたくしあげ椿姫は城内を走りました
『雀ーっ…雀はどこじゃ』
何枚もの襖を強く開き
城の奥へ…奥へと捜していく
皆城の外で椿姫を送るために出払っている為か
城内は静まりかえっておりました
――ただ1人…殿だけが…城の奥で固く眼を瞑り
小さな刀を手に祈っていました
『御父様…っ…』
殿のもとへと続く最後の襖を開け…
椿姫は刀を腹に当てている殿の姿に目を疑いました
『――椿か…』
腹に刀を当てたまま
殿様はそっと目を開けました
『―御父様…そこで何をしておられるのです―――雀は…雀はどこですか…』
額には一筋の汗を流しながらも
いつもの様に凛とたつ椿姫がゆっくりと殿様に問いました
『――鈴音は…雀は…椿――お前の変わりに人柱になる道を選んだ…』
殿様は真っ直ぐと椿姫を見上げ話だしました
『――わしがいけないのじゃ…民よりお前を選んでしまった事を…鈴音は…
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