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「…キアラ」
「なぁに?」
ブルーの瞳に、もはや涙の影はない。
声も掠れない。
「俺は、戦う。
守るために戦う。
…組織を抜けようと思うんだ。
一緒に、戦ってくれないか?」
「もちろん」
「………即答なんだな」
キアラはふあっと笑った。
「だって、それが私が一番望んでた言葉だもの。
剣を振るうことはできないけど…私も戦いたい。
私も、連れて行って………フィラノス」
手を伸ばせば触れられる距離に、キアラはいる。
それがなぜか遠い気がして、彼はキアラの頭に後ろから手を回して引き寄せた。
おでこが触れ合う。
今さら少し頬を染めて、キアラが目を逸らそうとする。
その様子に、フィラノスは少し微笑む。
「フィルって、呼んで」
「……………………………………………フィル…」
―――なんで今さら、照れるかねぇ
あまりの愛しさに、フィラノスはそっとキスを落す。
触れるだけの唇は、やがてどんどん深くなる―――。
空からは、贈り物のような月明り。
そして、弔いのような満天の星空が覆っていた。
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