ポチ…

3/4
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/4ページ
おじいさんに会いたい…… おじいさんに会いたい… おじいさんに会いたい… おじいさんのとこへポチは走りました 来る日も来る日もポチの足は止まる事はありませんでした おじいさんはもうこの世にはいないとは知らず… ひたすら足を動かしました ポチは自分が育った思い出の家へ… 飲まず食わずで 一日… 2日… 5日… 10日 ただ会いたいという気持ち 帰ればおじいさんがまた頭を撫でてくれる ポチは豆柴で体力があるわけじゃない 短い足 小さな体で 前へ! 前へ! ポチはおよそ一ヶ月近く走り続けて体力も限界に達してきた しかし だんだんと見覚えのある風景 そして懐かしい匂いを体で感じ始めて ついに……… おじいさんの家へたどり着いた ポチは自分の残りの体力を振り絞り吠えた ポチの声は疲れて果ててまるで生まれたての子犬のような哭き声だった ポチはいつも頭を撫でて貰っていた玄関へ疲れた体をゆっくり落とした ポチは待つ事にした おじいさんが現れるのを…… およそ三日後 奇跡が起きた 「おかえりポチ」 紛れもなくおじいさんの声がした そして目蓋を開けるとおじいさんが目の前に立っていた おじいさんは語りかけた 「よく会いに来てくれたね」 「きつかったろう…  つらかったろう…  ひもじかったろう…」 おじいさんの優しい笑顔の奥に涙を浮かべて言いました 「もうおじいさんを探さなくていいんだよ。おじいさんはこれからずっとポチのそばにいるからね」 そしてポチの頭を撫でた ポチは感じた 温かい 優しい手の温もり ポチは安心してスヤスヤとようやく眠りに着いた………
/4ページ

最初のコメントを投稿しよう!