貴方の娘に…

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貴方の娘に…

先日3歳の時に別れた実の父が他界しました…。父の顔さえ満足に覚えていない私でしたが…訃報を聞いた時…泣くと言うより 心の中に小さな穴が開いたみたいな気持ちでした。愛情なんて全くないと思っていました。 貴方に会うまでは… しみじみと横たわる貴方の顔は…どこか見覚えのある懐かしい顔でした。確かに知らない人には変わりないのだけれど…どこか自分に似ていると思える…その安らかな表情に… どうして…涙が静かに流れおちました。 『生きている貴方…父に会いたかった』 後から後から…拭っても…拭っても…はらはらと静かに嗚咽する事もなく涙が溢れて困りました。 今日 最後に貴方に会いに来るときには迷っていました。哀しいと言う感情がないのに行くべきなのだろうか?って…。 でも違ったのです… こんなにも私の父親だったのだと… 最後の…本当に最後のお別れをしてきました やっぱり…最後は… お父さん…ありがとうの言葉が無意識に出ていました……。
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