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「こんにちわ、栗林商事の周防です。」
ん?いつもと何かが違う。いつもなら頑固な店主が睨みをきかせて出てくる。
「はい」
「!!」
そこに現れたのは若い女性。僕は目を見開いてしまった。
髪はロングヘアー、決して今時とはいえないがおしとやかで繊細な感じ。僕の心が音をたてた。
「あ、あの、ご主人は、いらっしゃいますか。」
すると奥から奥さんが出てきた。
「あら、周防さん今日はどうしました?」
「きょ、今日は新発売のお、お酒のサ、サンプルをお持ちしました。」
僕が若い女性のほうをチラチラ見ていると
「あぁ、この子ね、娘の詩織って言うの。大学を卒業して戻ってきてるのよ。」と奥さんは微笑んで言った。
「あ、栗林商事のす、周防です!は、はじめまして!」
やばい!かなり同様している!端から見れば今の僕はかなり変な奴だ。
「はじめまして、周防さん。」と詩織が微笑む。
「プ!プー!」
!!!。気が付けば車の中だった。どうやら、信号待ちをしていたようで青になっても動かない僕に、後ろの車クラクションを鳴らしていた。
「ただいまもどりました。」と気の抜けた声で僕が言う。
「どうした周防?なんかあったか?」と先輩の広瀬が言うが僕には届いていない。
「なんだ、変な奴だなぁ?」
それが僕と詩織との初めての出会いだった。僕は詩織に恋をした。あんな事になるなんてその時は想像もしていなかった。
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