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料理の腕は文句なしである妻が用意したディナーも、後少しで完食である
ちなみに、俺は温めを許されなかったが、温めなくても、まだほんのり温かかった
やっぱりあんなの横暴だ
<そういえば、覚えてる?>
文句、というか言いがかりしか吐き出さなかった口が突然開く
<何が?>
<結婚記念日>
覚えている
覚えているが
<3月、じゅう…>
11か12か13か14か15か16か17か18だったとは間違いないのだが
<もういい>
<ごっめん>
やはりこうなった
しかし、突然結婚記念日の話題とは、プレゼントか何かの請求あたりなのかな
<もうすぐ結婚して5年でしょ
お金だってあるんだし、あた
し旅行行きたいの>
<あー>
意外なような、意外じゃないような
嫁は、血が通ってないんじゃねえかというくらい非道な人間だけど、所々女性らしかったりする
このように、俺との夫婦愛の確かめあいについてのこだわりもその一つだ
<でも覚えてないんでしょ>
<いや!じゅうぅんにち>
<は?>
<とりあえず覚えてっから!>
その事からも、俺を好きでいてくれるのはわかるのだが、
もし好きだったらその愛情がもうちょっとは日常に出て欲しい
<…ふーん
じゃあ、空けててねその日>
<…あー>
文句ではなかった嫁のことばだが、正直それは、文句よりもダメージがでかいものだったりした
<…3月中旬は学生の職業見学
が多分あって休めな>
<ごちそうさまおやすみ宜しく>
<あん>
魔王に仕立てたのはあんたのくせに酷いよ
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