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<城内放送、城内放送
魔王到着したが、ひき続きエ
ンカウント強化で…
…今日は、勇者はいれないよ
うに
すまないが頼む>
溢れんばかりのサリーの優しさに、俺の心ははちきれそうだった
<突然だが、今日は休みにしよ
うか>
<いいんすか!>
<特別な仕事も無いんだ
みんなで有休だ
あ、別に有休減ったりしない
からな>
<やったァ!>
そして、それは皆に平等に分けられる
俺たちは固定給のようなもので、有休などと言わなくてもいいのだが、だめ三人集への配慮である
<お疲れ様でしたァー>
<お疲れっ!>
<あ、お疲れ様です>
各々が頼んだ出前を受け取ると、ぞろぞろと帰路についた
残ったのは俺たち二人
あいつらなりの心遣いなのだろう
<サリー、ありがとう>
<全くもう>
<弁当半額払うよ>
<ガルさんの分もとっておきま
したよ 全額払いなさい>
<さりぃぃー>
弁当は、俺が一番好きなカキフライ定食だった
俺は、自分の財布を取り出すためにカバンを持った
<……あれ>
しかし
<どうしました>
<無い>
<は?>
財布が、どこにも無い
<…落としたかも>
<よく探して下さい>
いや、それだけじゃあない
通帳、アクセサリー、身分証
そして、プラチナカード
俺は紛失したものを全てサリーに伝えた
<……今日、何があったか、全
て話して下さい>
途端、サリーの表情は、いっそう険しくなった
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