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<……ガルさん>
<ごっめん>
サリーも苦心の表情だった
<都合よく金品だけ鞄から落ち
る訳ないでしょう
第一、内ポケットに入れてい
たカフスが>
<でも>
今まで優しくしてくれたこと
一緒に過ごした楽しい時間
俺に対して本当によくしてくれて
俺の悲しみを悲しんでくれたり
俺の苦しみに怒ってくれたり
すきって、言ってくれたり
嘘にしたくは無かった
否定したく無いんだ
頭の中で叫んだ
つもりが、抑えられないままに、それは声となって出てしまった
サリーの目が、どことなく哀しそうだった
<多分優しくしてくれたのも、
全て騙すためだったのですよ>
<違うよ>
<人に媚び売る仕事が元だった
のですから>
<それは失礼なことばだよ!>
<…いけないことには、それ相
応の罰が付くものです>
<キャバクラはいけないこと?>
<では浮気は>
<………>
認めざるを得ないのだろうか
<……とりあえず、財布には幾
ら入っていましたか?>
<ちょっとだけ、と…
あ、クレジットだけ>
<銀行!!!>
俺とサリーは、今までの憂鬱を吹き飛ばすように走り出した
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