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その一瞬
あーちゃんの首元から、大音量でサイレンが響いた
<!!>
<…びっくりしたけど>
汗を滴らせながらも、余裕の表情が帰りだすあーちゃん
<誰一人だって、権力には勝て
ない>
サリーは急ぎ焦って、俺の手を取った
<ガルさん>
<あ…>
汗にまみれた手が、力強く俺を護ろうとする
<逃げましょう
それしかない>
緊張で冷えきったサリーの手は、逃げるしかない。と物語っているかのようだった
<待って>
<無理です。ここに、何人の処
理班が押し寄せることか…!!>
<でも>
こんな緊迫した状況も、サリーも、初めて過ぎて
<嫁は…>
<人質とかじゃないです
危害だって無いでしょう>
<サリー>
サリーの手さえも、信じていいのかわからなくなっていた!
<"処理班に危害を加えた"と
証拠で論覇される前に、
逃げるが勝ちです!!>
無心で、無心で走り続けた
俺、昨日まで、大変だったけど、幸せだったのか
それが、一瞬で
そしてその原因は、他ならぬ、俺
「―――あーははははは!!」
昨日まで求めていた笑い声が、
酷く汚れちまって、俺の耳に残っていた
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