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-1時間後-
ソルは敬語で謝るアイクを説得し、なんとか落ち着かせた。
「それでソル聖王は…」
「その呼び方もやめろ。」
「そ、ソル君は任務でここに?」
「ああ、ノア王に頼まれてな。」
《それで仕方なく私も荷物扱いされてやったのよ…》
荷物扱いされたことをレミアはまだ怒っているようだ。
「だから悪かったって…!」
ソルは荷物という言葉に先程気になっていたもうひとつの事について思い出した。
「くっ…」
ソルは自分の荷物を調べ始めた。
「………くそ……」
ソルはそうつぶやくとがっかりした面持ちで椅子に座った。
それを見たアイクがレミアに聞いた。
「あの、ソル君は何をがっかりしてるんですか?」
《ああ、たぶんワインがなかったんでしょうね。
ソルの日課みたいなもんだから。》
「ワインって…ソル君は十五なんじゃ…」
この世界では飲酒は十八からなのでソルは本来飲んではいけない。
《ソルは特別に許可されてるのよ。
混血の殺戮本能を抑えるためにね》
「さ、殺戮本能!?」
《ええ、あなた達はソルを英雄だなんだと持て囃してるだろうけど、ソルは生まれた時から迫害を続けられてきたのよ…
私にいわせればむしがよすぎるわね…》
「……」
アイクは少し胸が痛くなった…
アイクだって混血に偏見がなかったわけじゃない…むしろ偏見のないほうが珍しいだろう。
混血差別はそれほどにまでひどかったのだ。
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