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宮下は何を考えているのか、固まったまま動かなくて。
試すように近づいた。
おもいっきり拒絶して欲しい気持ちと。そのまま受け入れて欲しい気持ちとが、ごちゃまぜになって。
何がなんだかわからない。
「お前が誘ったんだろう?」
言葉と体でわざと挑発してみせて。
宮下の出方を探ってみる。
何やってんだろう。俺。
半ば自暴自棄に笑いながら、ゆっくりと右手を伸ばす。
触れたのは宮下のネクタイ。
結び目に指をかけて、少しずつ力を入れて引いていく。
棒のように立ちすくんでいた宮下の体が、じわりじわりと近づいてきて。
力を緩めてもそのまま。
唇が触れた。
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